主よ、助けて

聖書: マタイによる福音書 14章 26節~33節

2021年6月13日(日): 聖霊降臨節第4主日礼拝説教

 弟子たちは、舟で向こう岸に渡ろうとしました。「ところが、舟は既に陸から何スタディオンか離れており、逆風のために波に悩まされていた(14:24)」。自然の猛威に、人は無力です。そこで、「イエスは湖の上を歩いて弟子たちのところに行かれた(14:25)」。ただ彼らは、「『幽霊だ』と言っておびえ、恐怖のあまり叫び声をあげた(14:26)」。こうして恐怖に支配されると、見えるものも見えなくなります。まさに、パニック状態です。こうなると、分かるものも分からなくなります。
 「イエスはすぐ彼らに話しかけられた。『安心しなさい。わたしだ。恐れることはない』(14:27)」。その声が、パニックを静めます。その声に、ペトロは水の上を歩いて行きます。「しかし、強い風に気がついて怖くなり、沈みかけたので、『主よ、助けてください』と叫んだ(14:30)」。『助けてください』というのは、福祉の言葉です。ただ一方で、人様に迷惑をかけたくないとか、ご近所に恥ずかしいという思いがあって、なかなか『助けてください』と言えない現状があるように感じてなりません。
 「はっきり言っておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう(26:34)」。ただペトロは、「御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません(26:35)」と意地を張りました。弱いのは自分なのに、どうして頼ることができなかったのでしょうか。今こそ助けが必要なのに、どうして祈ることができなかったのでしょうか。「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか(14:31)」。『助けてください』というのは、信仰の言葉です。