継がせるため

聖書: 使徒言行録 1章 20節~26節

2019年3月31日(日): 受難節第4主日礼拝説教

 初めは十二人だったはずの彼らも、今は一人を欠いて十一人になってしまいました。「ユダは不正を働いて得た報酬で土地を買ったのですが、その地面にまっさかさまに落ちて(1:18)」しまいました。そのことは、都中で噂になっていたようです。人の噂話の何と恐ろしいことでしょうか。
 そんな人の声の渦中にあって、彼らは、聖書の声にそっと耳を傾けていました。「その住まいは荒れ果てよ、そこに住む者はいなくなれ(1:20)」。詩編69編からの引用になります。「わたしは自分が奪わなかったものすら/償わねばなりません(詩編69:5)」。ここに、十字架の愛を感じてなりませんでした。
 また次の一節が、彼らの目に留まりました。「その務めは、ほかの人が引き受けるがよい(1:20)」。詩編109編からの引用になります。「だれか一人が、わたしたちに加わって、主の復活の証人になるべきです(1:22)」。ここに一人を加えて、また十二人から始め直したいと、決意したのだと思います。
 そこで、「くじを引くと、マティアに当たったので、この人が十一人の使徒の仲間に加えられることになった(1:26)」。「使徒としてのこの任務を継がせるためです(1:25)」。未だ困難の只中にありましたが、信仰を受け継ぎ、試練に耐えて、愛の働きで、今日も進み行こう。ここに、信仰の決意を見ます。
 「わたしがあなたがたを選んだ(ヨハネ15:16)」。ここに、十二人の原点を見ます。またここに、教会の初心を見ます。この原点に立ち返って、あなたがたは、世の光、地の塩でありなさい。聖霊の力を受けて、わたしたちも、その思いを受け継ぐものでありたいと願います。